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西谷の醤油づくり 〜みんなで育む味と絆〜

春の陽気が心地よい宝塚市西谷。
里山の自然に囲まれた「西谷里山ラボ」では、一年をかけてじっくりと醸される”特別な醤油”が今年も誕生します。

「はじめて醤油が搾り出る瞬間を見た時は、本当に感動しました。醤油って、こんなに美しいんだって。」

西谷里山ラボの前中梨沙さんが目を輝かせながら語るのは、「みんなで作る!にしたに醤油作り〜仕込みから搾りまで〜」の魅力です。
3年目を迎えるこのプロジェクトは、地域の枠を超えて人々をつなぎ、食の原点を見つめ直す貴重な体験となっています。

太陽と時間が育む、自然の恵み

一般的な市販の醤油と何が違うのか?
「私たちが作っている醤油は、自然の太陽の力で発酵させるんです。普通の醤油は火入れ(加熱処理)されていますが、火入れ前の生醤油も味わえるのが特徴です」

参加者は大豆、麦、塩、麹といったシンプルな材料から、本物の醤油づくりに挑戦。
暗い蔵の中ではなく、西谷の自然に囲まれた環境で、太陽の光を浴びながら発酵していきます。

「暑くなってくると発酵が進んで香りが立ち上ってくるんですよ」と前中さん。

里山ラボの事務所前に置かれた大きな樽からは、季節の移ろいとともに変化する醤油の香りが漂います。

一年かけて育む、みんなの醤油

4月の仕込みからスタートし、12月の搾りまで約9ヶ月。
講師の松岡さん(けせら暮らし)の指導のもと、最初の1ヶ月は毎週「天地返し」と呼ばれる作業を行い、その後は月1回の手入れを続けます。

「全く知らない人同士が集まって一つの醤油を作っていくんですが、最後には『無事に健康で一年を終えられてよかったね』という瞬間も感動的なんです」

1人あたり1升瓶3本ほどの自家製醤油が出来上がります。
市販品とは一線を画す風味は、料理の味を引き立てます。

つながりを育む醤油づくり

このプロジェクトの魅力は、醤油づくりだけではありません。

「西谷に引っ越してきたばかりの方も参加してくれて、ここでつながりができて友達が増えたことが嬉しかったと言ってくれました」

毎月の天地返しの際には、参加者同士の交流も深まります。
主催者側も、初対面の人たちが打ち解けられるように話題を用意するなど、細やかな配慮を心がけているそうです。

「移住を考えている方も参加してくれました。醤油づくりを通じて、西谷という地域とのつながりを感じてもらえたら嬉しいですね」

搾りの瞬間、感動の収穫祭

9ヶ月の時を経て迎える12月の搾り。
専用の道具「船」を使って、みんなで力を合わせて醤油を搾り出します。

「搾る瞬間は本当に感動的です。醤油が出てくると、黒というより紫がかった美しい色をしているんですよ」

搾りたての醤油で味わう料理の数々。
新米でつくったご飯に西谷(船岡さん)の卵をのせた「卵かけご飯」や、湯豆腐、味噌汁など、シンプルな料理だからこそ醤油の味わいが際立ちます。

「自分で口にするものは自分で作った方がいい。安心だし、愛着が湧いて味も変わります。気負わず、気軽に参加してほしいです」と前中さん。
一人での参加も大歓迎とのことです。

長い時間をかけて醸される醤油のように、
人と人との絆も、
西谷でゆっくりと育まれていきます。

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